確認済証や検査済証が売買に与える影響は?取得方法や注意点も紹介

戸建て・マンション


「確認済証」と「検査済証」は、不動産売買の現場でよく耳にする言葉ですが、それぞれの意味や違いを明確に理解できていますか?これらの書類は、物件選びや売却をスムーズに進めるために欠かせないものです。万が一、どちらかの書類が揃っていない場合、どのような影響が生じるのでしょうか。この記事では、不動産売買への具体的な影響や、書類がない場合の対処法、さらには将来的なトラブルを防ぐためのポイントまで、わかりやすく解説します。

確認済証と検査済証とは何か

建築において重要な「確認済証」と「検査済証」は、それぞれ建築の進捗段階で法的適合性を証明する役割を担う異なる書類です。

まず、「確認済証」は設計段階において建築基準法などの法令に適合していることが審査され、適合したと認められた段階で交付されます。この書類がない限り工事を始めることはできず、いわば「着工の許可証」のような役割を果たします 。

一方、「検査済証」は建物の工事完成後に行われる完了検査に合格した場合に発行されます。これにより、実際に建築された建物が設計図通りで法令に適合していることが確認され、使用が許されるようになります 。

以下の表は両者の違いと建築プロセスにおける位置づけを整理したものです。

書類名 取得タイミング 主な役割
確認済証 建築前(設計段階) 設計が法令に適合していることを証明し、着工を可能にする
検査済証 建築完了後 実際の施工が法令に適合していることを証明し、使用・融資・売買を可能にする

このように、確認済証は「計画の適法性」、検査済証は「完成後の適法性」をそれぞれ証明する書類であり、両者を取得することが建築プロセスを適正かつ安心して進める上で不可欠です 。

売買における確認済証・検査済証の重要性(売買への影響について整理)

住宅ローンの審査では、ほとんどの金融機関が確認済証や検査済証の提出を求めています。これらの書類がない場合、法令に適合しているかどうかを確認できず、住宅ローン審査が通りにくくなるため、買主が物件を購入するための資金調達が困難になります。

影響項目 具体的な内容 結果
住宅ローン審査 確認済証・検査済証の未提出で融資リスクと判断される 融資不可、現金購入に限定される可能性
買主の不安 違法建築の疑いがあると安全性に疑念を抱かれる 買い手が敬遠し、売却が難しくなる
売買条件 担保価値の低下や融資条件の厳格化 売却価格の下落や取引条件が不利になる

具体的には、確認済証や検査済証がない物件については金融機関が「担保評価ができない」と判断し、住宅ローンを承認しない可能性が非常に高くなります。また、フラット35などの公的ローンでも、適合証明書が求められるケースが多く、書類がないと利用できないことが一般的です。

さらに、買主はその建物が違法建築ではないかと不安を抱き、買い控えが起こるほか、不動産会社や仲介業者もトラブルを避けるために取り扱いを控えることがあります。その結果、現金購入に限られたり、相場より安い価格でしか売れないなど、不利な取引となってしまうことが少なくありません。

確認済証・検査済証がない場合の対応策(売買をスムーズに進めるための方法を提示)

確認済証や検査済証が紛失・未取得の場合でも、売買を円滑に進めるための有効な対応策があります。以下の方法をご活用ください。

対応策内容ポイント
台帳記載事項証明書の取得自治体の建築確認台帳に記載された確認済証や検査済証の交付日、番号などを証明する書類です。役所(市区町村の建築指導課等)で取得可能で、売買時の代替資料として活用できます(手数料は数百円程度)。
12条5項報告の活用(既存不適格案件)完了検査を受けていない既存不適格建築に対し、建築基準法12条5項に基づく報告書を役所に提出し、適法性の確認を得る方法です。増改築や売買の際、検査済証がなくても適法性を担保する手段になります。
適合調査のガイドライン活用国交省が定めたガイドラインに基づき、指定確認検査機関などが現地調査や図面調査を行い、適法性を証明する調査です。検査済証のない建物の安全性・合法性を客観的に示し、信用性を高める効果があります。

まずは

  • 自社で必要書類の有無を整理し、台帳記載事項証明書の取得要件を確認してください。
  • 既存不適格の可能性がある場合は、12条5項報告による役所への事前相談をおすすめします。
  • 適合調査については、指定確認検査機関や専門家との連携により、買主に安心感を提供できる体制を整えてください。

以上の対応策により、確認済証・検査済証がない物件でも、売買をスムーズに進めることが可能です。適切な書類取得と事前の説明責任を果たすことで、買主への信頼性を高め、成約につなげられます。

売買後に起こり得る影響と予防策

建物を購入したあとで増改築や用途変更を希望する場合、「検査済証」がないと手続きが思うように進まないことがあります。検査済証は完了検査をクリアした合法的な建物と認められる証拠ですが、それがない建物では改築や用途変更などの確認申請が原則としてできず、行政対応が滞るリスクがあります。

また、売買後に違法建築と判断された場合、買主側が違法建築物の所有者として是正命令を受ける可能性があり、その結果、是正工事や使用制限などの不利益が生じます。このような場合、売主には調査・説明の義務違反、契約不適合責任として損害賠償請求がなされることもあります。

将来のトラブルを避けるためには、建物の適法性を示す資料をしっかりと保管し、必要に応じて早期に確認する習慣をつけることが重要です。以下の表に、推奨される予防策を整理しました。

予防策内容目的
検査済証・台帳記載事項証明書の保管 完了検査完了の証明書類や代替資料を確実に保管 増改築・用途変更時の証明資料として活用
購入前の適法性確認 建築確認や完了検査の履歴を販売前に確認 違法リスクや責任発生の未然防止
早期対応の習慣化 必要書類の有無を定期的にチェック 売買後の手続きのスムーズ化およびリスク軽減

このような対策を日常的に実施しておくことで、売買後の手続きが円滑になり、将来的な責任問題や法的トラブルを未然に防ぐことができます。

まとめ

確認済証と検査済証は、建物の安全性や法令遵守を証明する大切な書類です。売買時にはこれらがないことで住宅ローンが使えなかったり、買主の不安から取引条件が不利になることがあるため、事前の確認と説明準備が欠かせません。万が一書類を紛失している場合でも、代替資料の取得や報告制度の活用が可能です。将来的なトラブルを防ぐためにも、適法性を証明する書類の早期確認と保管を徹底しましょう。

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