空き家の相続は損か得か?メリットとデメリットを整理して判断しましょう

空き家

空き家を相続することで、「得なのか、それとも損なのか」と悩んでいませんか?一見、家を手に入れるのはメリットが多そうですが、実際は思わぬコストやリスクが潜んでいます。本記事では、空き家相続のメリット・デメリットをわかりやすく整理し、損得を判断するために知っておきたい重要ポイントを解説します。判断を後回しにすると損することも。まず全体像を知ることから始めましょう。

空き家を相続することの全体像と損得の視点

空き家を相続すると、管理責任と税負担がそのまま相続人に引き継がれます。まず、相続した段階で相続税や登録免許税が発生し、相続人が納税義務者となります。登録免許税は不動産の固定資産税評価額×0.4%で課税されます。相続人が複数いる場合は法定相続割合に基づき分担する必要があります 。

続いて、所有を続けるだけでも、毎年固定資産税や都市計画税が課されます。住宅用地の場合、「小規模住宅用地(200㎡以下)」や「一般住宅用地(超過部分)」の特例により、固定資産税や都市計画税が軽減されます 。

一方、空き家を活用せず放置すると、「特定空き家」に指定されるリスクがあります。これは築年数・老朽化・衛生状態・景観への影響などが原因で、市区町村が指定します。指定されると住宅用地特例が外れ、固定資産税が最大で約6倍に跳ね上がるため注意が必要です 。

ただし、相続に伴う空き家にはメリットもあります。まず、現物資産としての所有により将来的な活用可能性が保たれます。また、「小規模宅地等の特例」を活用できる場合には、相続税評価額が大幅に減額される税制優遇も受けられるケースがあります 。

最終的に「損」か「得」かを判断するには、次のような前提条件が重要となります:築年数や建物の状態、土地の評価額、管理の状況、自治体の税制や補助制度の有無などです。これらをふまえることで、所有を維持するか、活用/処分するかの適切な判断が可能になります。

以下に、ポイントをわかりやすく整理しました。

視点 主な内容 損得の要因
税負担 固定資産税・都市計画税、登録免許税、相続税 特例の適用可否 相続して特例適用で軽減→得、相続せず特定空き家指定で増税→損
管理コスト 維持・衛生管理、放置による行政対応リスク 適切管理で抑制→得、放置で罰則や代執行→損
資産価値・活用価値 現物資産としての価値、活用による収入や利用可能性 活用できれば収益→得、放置で劣化→損

相続した空き家のメリットとは何か

相続した空き家には、いくつかの活用メリットがあります。まず代表的なものは、売却時に利用できる「空き家特例」と呼ばれる税制優遇制度です。相続または遺贈により取得した被相続人の居住用家屋や敷地を、所定の要件の下で売却した場合、譲渡所得から最大3,000万円を控除でき、節税効果が期待できます。相続人が3人以上の場合は控除上限が2,000万円となります。適用期限は相続開始から3年経過後の年末まで、制度自体は令和9年(2027年)12月末までと定められています(譲渡後の耐震工事や取り壊しに関する猶予も含め)。

次に、土地活用によるメリットです。相続した空き家を賃貸住宅や駐車場などに転用することで、一定の定期収入を得るとともに、賃貸中の固定資産税評価額が低くなるケースもあります(小規模宅地等の特例など活用で評価減の可能性があります)。

さらに、自宅やセカンドハウスとして利用することもメリットの一つです。自ら居住することで維持管理が行われ、無駄なコストや老朽化の進行を抑えることができるほか、家賃や外部住居費の節約にもつながります。生活スタイルや居住ニーズに合わせた活用により、資産の実質的価値を維持できます。

以下にメリットの比較を表で整理します。

メリットの種類 具体的内容 期待される効果
売却時の税制優遇 空き家特例による最大3,000万円(相続人3名以上で2,000万円)控除 譲渡所得税の大幅な節税
土地活用 賃貸・駐車場等への転用および評価額の減少 定期収入の確保および固定資産税負担の軽減
居住利用 セカンドハウス、自宅としての使用 維持管理が容易・居住費の削減・資産価値維持

相続した空き家のデメリットとは何か

空き家を相続した場合、所有し続けることにはさまざまなデメリットがあります。以下に主なリスクを3つの表形式で整理しています。

デメリット 具体内容 影響
固定資産税・都市計画税の負担増 「特定空き家」に指定されると住宅用地特例が外れ、税負担が約4〜6倍に増加 税負担が急増し、財政的負荷が大きくなる
老朽化・管理コストの増大 建物は築20年程度で価値がほぼなくなり、倒壊リスクや解体費用が高額になる 資産価値の低下や将来的な対応費用の発生
近隣トラブル・売却手間 荒れた空き家による景観悪化や苦情が発生し、売却・賃貸にも時間と手間を要する 近隣関係悪化や処分・活用の障壁増加

まず第一に、空き家をそのまま放置すると固定資産税と都市計画税が確実にかかります。とくに「特定空き家」に認定されると、住宅用地に適用されていた税の減免措置が受けられなくなり、固定資産税が最大で6倍に跳ね上がる可能性があります。実際には負担調整措置もあり約4倍程度の増となる例もあります。

次に、空き家は人が住まなくなると急速に老朽化が進み、築20年程度で建物の資産価値はほぼゼロに近づきます。倒壊や害獣の発生によって解体費用が高額になるほか、建物の状態が悪いと土地の評価にも影響し、売却価格が低く見積もられることもあります。

さらに、庭木の手入れがされていなかったり、雑草やゴミが放置されたりすることで近隣の景観が損なわれ、住環境や近隣関係に悪影響を及ぼすことがあります。こうした状態は売却や賃貸に出す際の障壁ともなり、手間や時間、心理的負荷が増加します。

空き家相続は「損」か「得」か?判断のポイントと早めの対応の重要性

空き家を相続するのは「損か得か」を判断するためには、いくつかの重要な観点を整理することが必要です。まずは以下のチェックリストをご覧ください。複数の要素を総合的に考慮することで、より適切な判断が可能になります。

判断ポイント確認内容実践例
税制度の適用「3,000万円特別控除」や「取得費の特例」を利用できるか売却時に譲渡所得が減免される可能性あり
管理体制遠方でも定期的な清掃・安全確認が可能か放置で「特定空き家」指定を避けられるかを確認
活用目的と合意売却・賃貸・自用など目的が明確かつ相続人間で合意があるか賃貸で収益化、または将来の活用を見据えた保持など

判断を先延ばしにすると、以下のようなリスクにつながる可能性があります。

まず、空き家管理を怠ると「特定空き家」に指定され、住宅用地の固定資産税の減免措置が外れ、税負担が最大6倍になるおそれがあります。また、老朽化が進行して資産価値が下がるうえ、倒壊や衛生問題による近隣トラブルを招き、行政指導や解体命令が出されるリスクもあります。

こうした問題を回避するためにも、早期に専門家に相談することが効果的です。税理士や司法書士、不動産の専門家へ相談することで、税制特例の適用確認や、適切な登記・売却・活用方法の提案が受けられます。特に3,000万円特別控除を利用するには期限と適用要件の確認が必要であり、早めの対策が節税につながります。

まとめ

空き家の相続は損か得か、一概に判断できない複雑なテーマです。固定資産税や管理維持の負担が生じる一方、税制優遇や土地活用による収益化も可能です。築年数や資産価値、活用の方向性を事前に整理し、早めの検討が重要です。損得の判断は個々の状況によって異なるため、迷った際は専門家に相談し、最適な選択肢を探ることが将来の安心につながります。

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