マンション構造の種類とは?違いや特徴を比較して選び方も解説

マンションを選ぶとき、「どんな構造なのか?」と疑問に感じたことはありませんか?同じマンションでも構造によって住み心地や耐震性、管理しやすさなどが大きく変わります。この記事では「マンションの構造の種類や違い」に注目し、それぞれの特徴や選び方のポイントを分かりやすく解説します。構造を知ることで、あなたにピッタリの住まい選びがきっと実現できます。次から具体的な内容に入っていきましょう。
マンション構造の基本分類(材料による違いとその特徴)
マンションで採用される代表的な構造は、以下の4種類です。
| 構造 | 特徴 | 法定耐用年数※ |
|---|---|---|
| 木造 | 木材を主要構造に使用。工期が短くコストを抑えやすいが、耐火性・遮音性・耐久性は劣る | 約22年 |
| 鉄骨造(S造) | 軽量/重量に分類。鉄骨の強度で耐震性は高い。自由な間取りも可能だが、遮音性や錆への配慮が必要 | 軽量:約22~27年、重量:約34年 |
| 鉄筋コンクリート造(RC造) | 鉄筋とコンクリートの相乗効果で耐火性・遮音性・耐久性が高く、居住性にも優れる | 約47年 |
| 鉄骨鉄筋コンクリート造(SRC造) | 鉄骨+鉄筋+コンクリートの複合構造で、RC造より強度・耐震性に優れ、大規模マンションに多い | 約47年 |
※法定耐用年数は構造によって定められており、木造は22年、軽量鉄骨造は約22~27年、重量鉄骨造は34年、RC造・SRC造は47年です(国税庁による)
木造は資材の加工性が高くコストを抑えやすいため、初期投資を抑えたい方に適しています。一方、RC造・SRC造は耐火性・耐久性・遮音性能が高く、長期的に安心して住み続けたい方に向いています。鉄骨造はその中間で、耐震性とコストバランスを重視する方に選ばれます。構造を理解することは、安全性や快適性、資産価値の観点からもマンション選びにおいてとても重要です。
構造別メリット・デメリット比較
こちらでは、木造・鉄骨造(軽量・重量)およびRC造・SRC造のマンション構造について、住み心地・耐久性・維持管理の観点からメリットとデメリットを整理してご紹介します。
| 構造 | 主なメリット | 主なデメリット |
|---|---|---|
| 木造(W造) | 建築・家賃コストが低く、通気性や断熱性が良いので快適な住環境を作りやすいです | 防音性や耐火性、耐久性が他構造に比べて劣り、シロアリなどによる劣化のリスクがあるため、定期的なメンテナンスが必要です |
| 鉄骨造(S造:軽量/重量) | 耐震性・耐久性に優れ、工場でのプレファブ化により工期が短く、設計自由度も比較的高い構造です | 軽量鉄骨は防音性が低く、重量鉄骨では建築コストが高くなる傾向があります |
| RC造 | 防音性・耐火性・耐久性・断熱性に優れており、長期的に安定した住環境を維持しやすい構造です(法定耐用年数47年) | 建築コストが高く、気密性が高いため通気性が悪く、結露やカビの発生リスクがあるため適切な換気やメンテナンスが重要です |
| SRC造 | RC造よりさらに高い耐震性・耐火性・遮音性を備え、柱や梁を小さくまとめやすく大空間の居住性にも優れ、長期的に安定した構造です⍟耐用年数もRCと同様に47年です | 建築コストが非常に高く、工期が長くなるうえ、設計の自由度が低いため間取りに制限が出る場合があります |
このように、構造ごとに特性が異なります。木造は初期費用を抑えたい方、鉄骨造は耐震性や設計の柔軟性を重視する方、RC造は静かさや耐久性を重視する方、SRC造はより高い安全性と広い空間を求める方向けといえます。ご自身の暮らし方や重視するポイントに応じて最適な構造をお選びいただければと思います。
建築工法(架構形式)の違いと構造選びの視点
マンションの建築において、ラーメン構造と壁式構造という異なる工法があり、それぞれが空間設計や建築コスト、住みやすさに大きく影響します。以下に、その特徴を整理したうえで構造選びの視点をわかりやすく解説いたします。
| 工法 | 特徴 | 影響・ポイント |
|---|---|---|
| ラーメン構造 | 柱と梁によって建物を支える工法。剛接合により耐震性を確保。 | 間取りの自由度が高くリノベーションもしやすい反面、室内に梁・柱の凹凸ができやすく、部材が太くコストがかかる傾向があります。中高層マンションに多く採用。 |
| 壁式構造 | 床・天井・壁の“面”で建物を支える構造。 | 凹凸が少なく室内空間がすっきり。遮音性や耐震性にも優れる一方で、間取り変更は難しく、主に5階建て以下の低層マンションで採用されています。 |
ラーメン構造は、中高層やタワーマンションなどの大規模物件で採用されることが多く、柱と梁によるフレームで建物を支え、耐震性やリノベーション性に優れます。しかし、室内に梁や柱の張り出しが生じやすく、施工コストも高くなりがちです。さらに梁が太い分、基礎工事にも影響が出る場合があります。間取りを自由に設計したい方や将来的なリフォームを検討されている方には有利な構造です。
一方の壁式構造は、建物を床・天井・壁の“面”で支える方式で、室内がすっきりしており家具配置の自由度も高く感じられます。遮音性・耐震性の面でも有利ですが、構造自体に支えられている壁を撤去することが難しいため、大幅な間取り変更やリノベーションには不向きです。また、壁式構造は重量が大きいため、法規上も5階建て以下の低層マンションに限定される傾向があります。
耐震性能に関わる構造の違い(耐震/制震/免震)
以下の表では、マンションにおける主要な地震対策構造の違いを整理しています。
| 構造タイプ | 仕組み | 特徴(メリット/デメリット) |
|---|---|---|
| 耐震構造 | 柱・梁・壁の強化で地震に耐える基本構造 | コストが比較的低く倒壊を防ぐが、大きな揺れを直接受けやすく、損傷や家具転倒のリスクがある |
| 制震構造 | 建物内部にダンパー等の部材を組み込み、揺れを吸収 | 揺れの伝達を抑制し、損傷を低減。耐震よりコスト高だが、メンテナンスしやすい |
| 免震構造 | 基礎と建物の間に免震装置を設置し、揺れを建物に伝えない | 揺れを大幅に軽減し室内被害を抑えるが、導入・維持費用が高く、地下構造や技術制約がある |
まとめ
マンションの構造には木造や鉄骨造、RC造、SRC造といったさまざまな種類があり、それぞれ強度や耐久性、コストに違いがあります。また、ラーメン構造や壁式構造という建築工法によっても間取りの自由度や居住性が異なります。さらに、耐震・制震・免震といった地震対策の観点も重要で、構造ごとに暮らしやすさや安心感が変わります。構造や工法の違いを知ることで、ご自身に合ったマンション選びがしやすくなりますので、ぜひ参考にしてください。